外国で謎のウイルスにかかった時の話

これは2020年(厳密には2019年から)世界を激震させた、某ウイルスが流行る3年ほど前の出来事です。

高熱と、めまいと頭痛、顔の腫れに約1週間苦しんだ出来事を、某パンデミックが起きるまですっかり忘れていたので、ここに記録として残しておくことにします。


当時私はスコットランドでワーキングホリデーをしていて、小洒落たカフェで機嫌良く働いていました。

始まりから9日間の記録

Day 1

ある日の勤務中、軽い立ちくらみがあったので、よくある貧血だと思い帰りにドラッグストアで鉄分補給のサプリを買いました。

なんだか分からないけど体がだるく、普段なら徒歩30分ほどの道のりを40分ほどかかって帰路につきました。

Day 2 

勤務中、前日よりも強い立ちくらみと頭痛があり、途中から立ってることも辛くなってきました。

カフェインで誤魔化そうとエスプレッソを飲んでみたり、バックヤードで休憩してみたりもしましたが回復せず、仕事にならないので早退することに。

立っているだけでしんどかったので30分歩くなんて到底無理で、普段はケチって乗らないバスに乗って帰りました。

自宅に帰り、とりあえずご飯を食べて休むことにしましたが、座って安静にしていると楽だったので、この時までは酷目の貧血だと思っていました。なので鉄分サプリを推奨量の倍飲んでいました。(真似しないでください)

Day 3

この日は朝起きた瞬間から、これはやばいやつだと直ぐに感じました。何がどうとか分からないけども、とにかくしんどい。

普段からあまり病気をすることがなかったので後から熱があると知るまでは、この全身のしんどさが何なのか全く分かりませんでしたが、ただの貧血ではないことだけはこの時点で気づきました。

寝ている間にかなり汗をかいていたのでシャワーを浴びに洗面所に入った時、鏡で見た自分の顔に驚愕。顔がパンパン。


これは…おたふく風邪…!


親に聞いてみたところ、やはり幼少期におたふく風邪にかかってないしワクチンも打っていないとのこと。


ルームメイトの子に会うと、ひと通り笑った後にParacetamolとIbuprofenの錠剤を分けてくれました。

ちなみに・・・

イギリスではNHS(National Health Service)という日本で言うところの健康保険のようなものがあり、病院は初診は自分の住む地域にある、事前に登録したNHSクリニックに行きます。かかりつけ医のようなものですね。
内科、外科、眼科などの区別はなく、とりあえずは全ての症状において一旦NHSで診てもらい、紹介状を持ってからでないと専門科での診療は基本できません。
NHSの診療には予約が必要で、日本の病院のように行けばすぐ診療してもらえるようなものでもありません。

NHSでの診療とそこにかかる薬代は無料なのは良いですが(歯医者は有料で、例外もあります)医者がいい加減です。

もちろんちゃんと診てくれるお医者さんもいますが、基本雑な対応が多いです。
そのためイギリス人はあまり病院には行かず市販の薬で治すことが多いので、ドラッグストアに置いている市販薬の種類は豊富で、しかもかなり安いです。

物価が高いイギリスで、唯一安いものと言っても過言ではありません。 


Paracetamol、Ibuprofenはどちらとも解熱鎮痛薬で、生理痛などの痛み止めにみなよく飲んでいました。

あまり病院に行かないイギリス人は風邪をひくと、とりあえずはParacetamolとIbuprofenで乗り切るそうです。日本で言うところの、効いたよね早めのバファリン的な位置でしょうか。

もらった薬を飲むと少しマシになった気はするものの、全身の痛みとだるさで全く寝れない。
しんどずぎて寝れない、なんてことは初めてで本当に辛かったです。

症状としては

  • こめかみを叩かれるような激しい頭痛
  • めまい
  • 顔の腫れ
  • 全身の痛み

顔の痛みはありませんでしたが口が開けにくく、ご飯を食べるのに苦労しました。食欲は普通にありました。

寝られない、病院にも行けない(その日は土曜日でNHSは休診でした)頭が痛くて本も画面も見れない、の三重苦で過ごす日は地獄でしかなかったです。

Day 3.5

その日の夜、顔の腫れと全身の痛みが最高潮に達したと分かる瞬間がありました。

これやばいで、これ以上の辛さは無理やで、と身体から何かメッセージが発せられたような感じです。

それでも死にはしないと絶対的な自信だけはなぜかあったので、救急車を呼ぶのは気が引けて、代わり準緊急の相談窓口のような機関に連絡しました。

日本では救急安心センター事業(♯7119)ですね。

症状を聞き、緊急性があるのか、どういった処置をすればいいのか、相談窓口の人が判断してくれるサービスです。

スコットランドでは「111」でした。ちなみに警察・消防・救急はまとめて「999」です。分かりやすくて良いですね。


電話口で出たのは看護師でも医者でもないスタッフでした。コールセンターのような対応で、

  • 名前、住所、生年月日、連絡先
  • 詳しい症状
  • 熱はあるか
  • いつから症状があるか
  • アレルギーはあるか

など一般的なことが聞かれます。

その後ナースに電話が替わりましたが、さっきの電話口の人と全く質問をしてきたので、全く同じ回答をしました。
(引き継ぎって言葉知ってる…?)

するとナースは「ちょっと分からんからドクターに聞きたいんやけど、ドクター今忙しいから後で本人から連絡してもらうわ」とのことで一旦電話は終わりました。


「後で」がどれくらい後なのか分からず、スマホを片手に3時間ほど待ちましたが、連絡がない。

海外あるあるのやつか、と疑いつつ、うっかりスマホを置いてトイレに行った隙に電話がありました。
(なんで…!今…!)

すぐにかけ直しましたがドクターには直接つながらず、電話口の人とまた1からの質問応答です。
(3回目、症状伝えるの上手くなった)


電話口の人「ドクターいま忙しいからまた後でかけてもらうわ」デジャブかと思った。


結局その日にドクターからの電話はありませんでした。

むちゃくちゃしんどかったけれども、ひたすら長い保留時間と永遠に続きそうな質疑応答の間は、症状が落ち着いていたように感じます。苛つきがしんどさを上回ったのかもしれません。

Day 4

朝起きると昨晩の最高潮からは少し引いたものの、まだひどい頭痛と全身のだるさ、めまいがありました。

ドクターから昼過ぎに電話があり、瞬で応答、肌身離さず待っていた甲斐がありました。


おなじみの質疑応答(4度目半日ぶり)の後、

ドクター「おたふく風邪っぽいよね」

私「そんな気はしてました」

ドクター「検査するから病院来れる?1時間半以内に。その後会議あるから。」

私「…Sure(まじか)」


指定された病院は地域のNHSの診療所ではなく大きな総合病院で、自宅からバスを乗り継いで50分ほどの場所にある所でした。

まだパジャマを着た目が覚めた時のままの姿から、90分で数キロ離れた行ったこともない総合病院のドクターの部屋へ、移動。


(脳内再生)ドーラ「40秒で支度しな!」


さすがに40秒では支度できませんでしたが、数分で支度を済ませタクシーで病院まで行きました。

タクシーに乗っている時間と同じくらいの時間を病院内で迷いましたが、電話を切ってから1時間ほどでドクターの部屋までたどり着いたのは、good job 自分でした。

前日の最高潮しんどさを100とすると、この時点では75ほどまで下がってはいたものの、まだむっちゃしんどかったです。100の状態では時間内には到底来れなかったでしょう。


ドクター「Hello 気分はどう」

私「しんどいです」

ドクター「あー、顔腫れてるね、熱もあるね、おたふく風邪だろうね、検査するわ」


と、テキパキと検査キットで口の粘膜を取って喉と目のチェックが終わった後、診療はものの数分で終わりました。

症状が前日よりも良くなっていたこと、熱はあるものの水分が取れていて脱水症状にはなっていないことから数日で治ると判断されましたが、おたふく風邪の感染力は強いため熱が下がってもあと3日は仕事に行くな、とのことでした。

何の処置もされず薬も処方されなかったので、そのまま帰りました。ここでの診療も有りがたい事に無料です。

病院に行ったところで特に何も処置をしてもらってないので、おたふく風邪かどうかの判断をわざわざしんどい中で行っただけのことでしたが、ドクターに大丈夫だと言われたので安心感もあり、帰り道は心穏やかに過ごせました。

頭痛はまだありましたが、めまいと全身の痛みは夜にはだいぶ治まり、その日は寝ることができました。

Day 5

終日頭痛がありましたがNetflixを見れるまでに回復していたので、ゲームオブスローンズの一気見で一日を過ごしました。顔の腫れも、治まりつつありました。

Day 6

ほぼ快復です。

少しだるさはありましたが、病気からのだるさなのか、前日に22時間ベッドの上で過ごしたための寝過ぎのだるさなのか分からない程度です。おそらく寝過ぎです。

Day 7

かかりつけNHSから検査結果が出たので聞きに来いとの連絡があり、その日の午後に予約がとれたので早速結果を聞きに行くことに。

結果が出たのが検査後3日とは意外に早かったので、驚きました。数日=数週間の海外あるあるの想定もしていたからです。

NHSに結果を聞きに行って驚いたことが、おたふく風邪ではなかったこと。


! !お た ふ く 風 邪 で は な い ! !


NHSドクター「陰性」

私「じゃあ何の病気? 顔むっちゃ腫れてんけど」

NHSドクター「ただのウイルスでしょ」


! ! た だ の ウ イ ル ス ! !


何のウイルスか聞いても、言葉通り「Just virus」の答えしか返ってきませんでした。

検査は「おたふく風邪かどうか」の検査だったので、それが陰性だった場合に「何のウイルスなのか」までは分からないのです。

NHSドクターからはそれ以上の答えはなく、実際に彼が症状を診たわけでもないので、これといったアドバイスは何もなく、症状がないのなら次の日から仕事に行ってもいいとの判断でした。


バイト先にはおたふく風邪だと伝えていたので、結局違ったと報告するのはかなり恥ずかしかったです。何のウイルスだったのか聞かれても、同じく「Just virus..」のほか言いようがなく、皆に説明するのも、すごくめんどくさかったのです。

Day 8

翌日から仕事に復帰し、日常に戻ったわけですが、その日からルームメイトの子がひどい頭痛がすると言い出しました。

こめかみあたりを叩かれるような頭痛だと。


ざわ・・・


どうやら、彼女の会社で一人頭痛が酷いため早退をした同僚がいたらしく、会社では風邪が流行っているとのこと。


ざわ・・ざわ・・

Day 9

ルームメイトの頭痛はまだ続いていたものの、仕事には支障がない程度だったそうなので仕事には行っていました。

その日、月曜から4日間病欠をしていた別の同僚が出勤してきたらしく(部署が違うため彼女は同僚が休んでいたことは知らなかったそう)聞けば原因不明の顔の腫れと熱と頭痛に苦しんでいたとのこと。

ちなみに、前日早退した同僚はその日は休みだったそうです。


当時はそんな言葉も知りませんでしたが、俗に言うにクラスター発生ですね。


最後に

その後

その後私は完全に快復し、ルームメイトも、その同僚たちも数日で症状は治まったようです。

それ以降、彼女の会社では謎の流行り頭痛はなくなったそうです。

後に聞いた話ですが、4日間病欠した同僚も、頭痛で早退した同僚も、やはり病院には行かなかったらしいです。イギリス人、さすがです。

流行りに対して思うこと

私と、ルームメイトと、その会社の同僚がほぼ同じ時期に、程度の差はあるものの同じような症状が発症したことは、ただの偶然ではないと思っています。

私たちが罹患したウイルスが何だったのかは、もう知るすべはありません。

私が始まりだったのか、またルームメイトの同僚か、その時はルームメイトが会社と自宅をウイルスで繋ぐ架け橋となってしまった可能性は高いですが、絶対にそうとは言い切れる訳でもありません。

いつ何処で誰から感染したのか、なんて分かりようがないですし、分かったところで症状が良くなってた訳でもないです。

当時、ルームメイトの子から「あなたのせいで頭痛がおきた」とか、「会社で謎の頭痛が流行った」などと責められる事はなく、純粋に体調を心配してくれていました。顔を見るたび笑われはしましたが。


今後世の中で流行り風邪などが職場、学校などで発生した時、1番手を探す風潮が残らなければいいなと強く思います。


私は医療関係者でも専門家でも何でもないので、大したことは言えませんが、

大事なことは、普段の生活で、健康的な食事・運動・睡眠と、適度に日光に浴びて自己免疫力を高め、まずは自分が罹患しないよう努める事ではないでしょうか。

マスク忘れたー!と言って家に取りに帰らなくてもいい日々が、早く戻るといいと心底願います。

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